yukimuraのメモ帳 ver.2

ルパン三世 ルパンVS複製人間

ルパン三世 ルパンVS複製人間』(1978)
評価 : ★★


モンキー・パンチ原作のTVアニメ『ルパン三世』の劇場映画第1作。
監督はTV第1シリーズにも携わった吉川惣司

ルパン三世』のコアなファンの方は、本作を劇場版の最高傑作に推す人もいるくらい根強い人気のある作品ですが、個人的には賛同しかねますし、各所での高評価には疑問を感じます。
アニメ『ルパン三世』における最高傑作は、次作『カリオストロの城』であり、異論は全く認めないと断言できます。
それくらい『カリオストロの城』と他の作品では、映像作品として大きく差があります。

そもそも『ルパン三世』という作品自体が、元となったモーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』シリーズに比べると物足りなく、かの作品のロマンチシズムに酔わされた人にとってはガッカリでしょう。
まあ、そうした比較をしなければ、コミカルなこのシリーズも案外悪くはないんですけどね。

そんなシリーズにおいて例外なのが、宮崎駿が監督した『カリオストロの城』、そしてTV第2シリーズにおける宮崎駿の演出回で、これらは別格です。
私が宮崎駿の大ファンであることを抜きにしても、贔屓でも何でもなく、実際問題、映像の美しさ・扱いの上手さ、話術の巧みさ、総合的に見て作品としての格が段違いなのだから仕方ないです。

もちろん、本作の公開当時には『カリオストロの城』はまだ公開されていないので、同時代的な評価を下す場合、そうした比較論は意味を為しません。
しかし、『アルセーヌ・ルパン』シリーズと比較せず、『カリオストロの城』とも比較しなかったとしても、本作単体は凡作と言わざるを得ません。

確かに本作はスケールが大きく、シリーズでも最大規模の作品です。
しかし、その内容があまりに荒唐無稽で、私にはとても楽しめません。
例えば『007』シリーズでも、『ロシアより愛をこめて』のような本格ものもあれば、『007は二度死ぬ』『ムーンレイカー』のようなマンガ的な荒唐無稽さを伴った作品もあり、私はそういう作品もそれはそれで楽しんでいます。
そんな私でも、本作はあまりにファンタジー要素が強く、荒唐無稽に過ぎるので、どうしても作品を楽しむまでには至りません。
強いて褒めるなら、TV第1シリーズのようなアヴァンギャルドなムードが楽しめることでしょうか。
そこを最大限評価しても★3が限界ですが…。

私の『ルパン三世』劇場版の評価は、『カリオストロの城』がダントツの1位。
『THE FIRST』が★3で、この作品は適度なミステリー趣向とロマンチシズムがあり、映像もなかなかなので、二番目に面白いと思っています。
あとは大体が★2。
バビロンの黄金伝説』は一番つまらないので★1。
以上のような感じです。