個人的な日本映画の100選です。
日本映画は、ハリウッドのように現実離れした作品は苦手ですが、人間の生き方を問うような文芸映画には非常に味わい深い作品が多いです。
日本映画の代表作『七人の侍』は、国際的アクション映画と言えますが、あの作品もやはり本質的には人間を描いた作品です。
外国映画も好きですが、やはり私は日本人の琴線を打つ日本映画が大好きですね。
年代別では、60年代が21本で一番多く、続いて50年代が18本、80年代が13本、70年代が12本、30年代と90年代が10本という結果になりました。
60年代は日本の文芸映画が最も充実した円熟期であり、私が一番好きな時代ですね。
監督別では、黒澤明と山田洋次が9本、続いて小津安二郎が7本、溝口健二と今井正と成瀬巳喜男と大林宣彦が4本、木下惠介と市川崑と周防正行が3本という結果になりました。
黒澤明、山田洋次、小津安二郎が特に多いと思われるかも知れないですが、これでも最小限に数を絞ったほうですし、実力を考えれば妥当だと思います。
他にも、今回入っているのは全員お気に入りの監督と言えますね。
戦前の作品に関しては、フィルムが焼失・消失してしまったものが多く、当時の批評家からも高く評価された作品の多くが観ることが不可能、もしくは不完全な形でしか観られない状態なので、我々映画ファンにとっては非常に残念なことです。
戦前でも特に評価の高い、伊藤大輔、マキノ雅弘、伊丹万作などの監督作品は、残存した一部は観られても、消失した部分も大きいので、私の評価としても採点不能、もしくは採点を下げざるを得ないので、今回の私の100選には入っていません。
完全な形ならば、きっと入っていたことでしょう。
最近になって、小津安二郎監督『突貫小僧』の新たなフィルムが発見されたようなので、今後これらの作品のフィルムも奇跡的に見つかることを願います。
今回100本選びましたが、どの作品を入れて、どの作品を入れないかは相当悩みました。
もちろん主観的に大好きな作品ばかりですが、それ以上に映画的完成度を優先したガイド的な100選にしたいという思いで作りました。
これから日本映画を観る人への一助になれば幸いです。
私の採点の高い上位100作品を選んだわけですが、もちろん作品は点数が全てではありません。
ここに入ってない好きな作品、味わい深い作品は一杯ありますし、その作品名を挙げていけばキリがないくらいです。
それらの作品については、今後時々でも感想を書いていければと思います。
順番は古い作品から公開順に並べています。
それでは御覧ください。
No.1『路上の霊魂』(1921,村田実)
No.2『雄呂血』(1925,二川文太郎)
No.3『生れてはみたけれど』(1932,小津安二郎)
No.5『出来ごころ』(1933,小津安二郎)
No.6『浮草物語』(1934,小津安二郎)
No.8『有りがたうさん』(1936,清水宏)
No.9『浪華悲歌』(1936,溝口健二)
No.11『淑女は何を忘れたか』(1937,小津安二郎)
No.12『按摩と女』(1938,清水宏)
No.15『醉いどれ天使』(1948,黒澤明)
No.16『晩春』(1949,小津安二郎)
No.20『稲妻』(1952,成瀬巳喜男)
No.29『野菊の如き君なりき』(1955,木下惠介)
No.30『真昼の暗黒』(1956,今井正)
No.33『キクとイサム』(1959,今井正)
No.34『独立愚連隊』(1959,岡本喜八)
No.35『悪い奴ほどよく眠る』(1960,黒澤明)
No.36『おとうと』(1960,市川崑)
No.37『用心棒』(1961,黒澤明)
No.39『秋津温泉』(1962,吉田喜重)
No.41『古都』(1963,中村登)
No.42『天国と地獄』(1963,黒澤明)
No.43『五番町夕霧楼』(1963,田坂具隆)
No.44『にっぽん昆虫記』(1963,今村昌平)
No.48『赤ひげ』(1965,黒澤明)
No.49『紀ノ川』(1966,中村登)
No.52『上意討ち 拝領妻始末』(1967,小林正樹)
No.53『日本のいちばん長い日』(1967,岡本喜八)
No.56『家族』(1970,山田洋次)
No.57『軍旗はためく下に』(1972,深作欣二)
No.59『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』(1973,山田洋次)
No.63『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』(1975,山田洋次)
No.64『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(1976,山田洋次)
No.66『幸福の黄色いハンカチ』(1977,山田洋次)
No.68『遥かなる山の呼び声』(1980,山田洋次)
No.69『ツィゴイネルワイゼン』(1980,鈴木清順)
No.70『影武者』(1980,黒澤明)
No.71『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(1980,山田洋次)
No.72『泥の河』(1981,小栗康平)
No.77『それから』(1985,森田芳光)
No.82『息子』(1991,山田洋次)
No.84『青春デンデケデケデケ』(1992,大林宣彦)
No.85『わが愛の譜 滝廉太郎物語』(1993,澤井信一郎)
No.87『Shall we ダンス?』(1996,周防正行)
No.89『CURE』(1997,黒沢清)
No.92『誰も知らない』(2004,是枝裕和)
No.93『運命じゃない人』(2005,内田けんじ)
No.94『サマータイムマシン・ブルース』(2005,本広克行)
No.95『ゆれる』(2006,西川美和)
No.96『この空の花 長岡花火物語』(2012,大林宣彦)
No.99『ハッピーアワー』(2015,濱口竜介)
No.100『ラストレター』(2020,岩井俊二)