yukimuraのメモ帳 ver.2

Viewfinder

『Viewfinder』(2023)
評価 : ★★★★★


Sad Owl Studiosが開発のパズル系ADV。
写真を風景に貼り付けて空間を作り変えていくのが面白い作品です。

ゲーム内容としては至ってシンプルです。
プレイヤーが使える能力は二つ。
一つは、撮影した写真を風景に貼り付けること。
もう一つは、時間を巻き戻すこと。
これらを駆使して目的地の転送装置へと進み、ステージをクリアしていきます。

プレイヤーが挑むステージは、空中に浮かぶ不思議な空間で、途中に様々な障害があり、普通に歩いては目的地には辿り着けません。
例えば、途中で道が途切れてて、進むと落下してしまう場面があります。
そこでプレイヤーは持っているインスタントカメラを使い、壁や床の写真を撮ります。
そして撮った写真を、景色の道が途切れている部分にペタリと貼り付けます。
すると、貼り付けた写真が実体化して、道が途切れている部分に即席の橋が出来上がります。
こうして先に進めるようになります。

もちろん上に挙げた例は、本作の特に初歩的な解き方でしかありません。
他にも、アイテムを写真で撮ってコピーを作ったり、空などの何もない空間を撮った写真で壁を取り払ったり、進むうちに様々な解き方を要求され、次第に難易度も上がっていきます。
パズルの苦手な私の場合は、最初のうちは割りとスイスイ進んでいけましたが、ステージが進んでいく内にだいぶ頭を悩ませるものもありましたね。
中には、こんな解き方があったのか!と感心させられるものもあります。

トライアンドエラーが多い作品で、間違って落下してしまう場面も多々あります。
そうした時には、時間を巻き戻す能力を使い、落下する前まで直ぐに巻き戻せます。
他にも、写真を貼り間違えた時や、最初からやり直したい時など、いつでも好きな時点に巻き戻せます。
この能力のおかげで、難しいパズルでもストレスなく解くことに集中できました。

グラフィックは3Dで表現されており、緻密で美麗なタイプというよりも、ちょっとアート的で特徴的なタイプです。
近年の作品だと『The Witness』に似た感じで、やや古めかしいけど味がある感じのグラフィックですね。
時には、モノクロ、手描き、油絵、ドット絵、ローポリゴンなど、画風が切り替わる場面があり、視覚的にも面白かったです。
また、錯視を利用して、進める道かと思ったら行き止まりだったり、逆に行き止まりかと思ったら進める道だったりする場面もあります。
全体的に芸術性が感じられる作品でした。

一応ストーリーも存在しますが、あまり気にする必要もないでしょう。
本作のメインはパズルであり、お話はオマケという感じですね。

総合評価は★5。
私の評価は最大★7まであるので最高評価ではないですが、大体は五段階の中で推移するので、★5が実質の最高点とも言えます。
そのため、あまり軽々しく★5を付けようとは思わないですし、本作も最初は★4と迷いました。

そこでふと思ったのですが、最近の私は同人ゲームやインディーゲームをよくプレイしていましたが、グラフィックが弱く視覚的な面白味が薄かったり、システムが劣悪で快適にプレイ出来なかったり、ゲームとしては問題のある作品も多かったです。
そんな中にあって、本作は小粒な作品ながら、視覚的に一定の新味と芸術性が感じられ、シンプルながら適度にやり応えのあるゲーム性もあり、ストレスなくプレイできる快適さが好印象でした。

最近なかなか他のゲームに★4までしか付けられなかったこともあり、甘いかもしれないですが、以上の点を評価して★5を進呈します。
とりあえず、下の動画を見て面白そうだと感じた人には是非プレイしてもらいたいですね。