yukimuraのメモ帳 ver.2

ある日本の絵描き少年

『ある日本の絵描き少年』(2018)
評価 : ★★★★


自主制作アニメ『高野交差点』が面白かったので、DoGAの「CGアニメコンテスト」の入選作品をいろいろチェックしていました。
多くの作品がありますが、その中でも『高野交差点』『ある日本の絵描き少年』の2作品は特に良く出来ているので、アニメファンならチェックして欲しいと思います。

本作は『高野交差点』の前年にグランプリを獲得した作品で、TVアニメ『ステラ女学院高等科C3部』などを手掛けた川尻将由が監督を務めた自主制作アニメです。
20分程の短編アニメで、こちらもYouTubeで公開されているので、未見の方はまずこちらの本編の動画を観て頂きたいです。



絵を描くのが好きな少年の幼少期から始まり、学生時代を経て、成人して漫画家になり、やがて挫折を味わい、かつての友の活躍を目にし、再び頑張ろうという気持ちが芽生える…。

というお話ですが、やはり本作の面白さはその映像表現にあります。
各時代の画風が、その当時の主人公の画風・画力に合わせた形で進行し、幼少期の本当に小さい子供のお絵描きのような画風からまず笑わせてくれます。

学生時代はまさに小学生や中学生が描きそうな画力だったり、その当時に流行った漫画のキャラクターで人物が描かれたりします。
そこで描かれる漫画・アニメ・ゲームなどのキャラを見ていると、監督は私とほぼ同世代を過ごした人なんだなと無性にニヤニヤしちゃいましたね。

大学時代は芸術大学らしくアート的な画風が加わったり、漫画家時代は漫画的なコマ割りで進行する場面もあったり、終盤は完全に実写になったりと、次々と変化していく画面を眺めるだけでも楽しいです。

全体通して実験的な映像作品という感覚が強かったですし、作者のマンガ愛が伝わってくる作品でしたね。
こういう作品が作れるのも自主制作アニメならではという感じですね。

川尻将由監督の初の長編映画となる新作『CHERRY AND VIRGIN』も面白そうです。
公式などでは2022年公開となっていますが、まだ制作中で公開はされてないようですね。
新作も楽しみなので応援してます。