yukimuraのメモ帳 ver.2

The Cosmic Wheel Sisterhood

『The Cosmic Wheel Sisterhood』(2023)
評価 : ★★★★


Deconstructeamが開発したADV。
カード占いや途中の選択肢により物語が分岐します。
昨年発売のインディーゲームの中でも、特に高評価を獲得したADVですね。

物語のジャンルは、魔女が存在する宇宙が舞台のファンタジーです。
本作の主役の魔女・フォルトゥーナは、占いにより集落に混乱をもたらしたとされ、誰もいない小惑星に1000年の流刑を言い渡され、そこで200年の時を過ごしています。
彼女は再び自由を取り戻すため、禁忌とされる存在と契約を結び、ベヒモスと呼ばれる強力な悪魔・エイブラマーを召喚します。
契約により力を取り戻したフォルトゥーナは、200年ぶりに魔女の友人たちと繋がり、彼女たちの未来をカードで占ううち、次第に宇宙の魔女社会の運命に関わっていきます。

まず、本作のグラフィックはドット絵で描かれています。
ゲーム歴の長い人にとってドット絵は昔ながらのレトロな表現という印象ですが、最近の若いユーザーにはピクセルアートと呼ばれ、一つの表現として好意的に受け取られている印象です。
私は最新のゲームには最新の技術を使った表現が見たいタイプです。
たまになら、こういうレトロな雰囲気の作品も良いですが、最近のインディーゲームはドット絵の作品が多すぎて、私はもう飽きが来ていますね。

まあ本作の場合は、登場する魔女や悪魔のデザインが個性的なので、その点では楽しめましたね。
普通の人間に近い造形の魔女もいれば、人間離れした異形の魔女もいて、次はどんな魔女が出てくるんだろうという面白味がありました。
宇宙空間に浮かぶ小惑星が舞台というのも面白いです。
宇宙的な浮遊感のあるサウンドも相まって、なかなかに独自の雰囲気を放つ作品ですね。

肝心のゲーム内容ですが、小惑星に流刑されたフォルトゥーナの元に様々な魔女が訪れます。
フォルトゥーナは魔女たちと会話し、カードを使って占い、彼女たちを導いていきます。
ノベルゲームのような選択肢に加えて、カードの作成とカード占い、これらの結果により物語が細かく分岐していきます。

主人公が一つの場所に留まりながら、そこに集まる人々の運命を左右するという内容の作品は、近年では『VA-11 Hall-A』以降少しずつ増えているような気がします。
本作も基本的にはそれらと似た感じではありますが、宇宙を舞台に過去・現在・未来の歴史も大きく関わってくるため、類似作品よりも大きなスケールの広がりを感じられます。

まだ新しい作品なので詳細を書くのは躊躇われますが、最初こそ他者を見守る立場にいたフォルトゥーナが、いつの間にか運命の渦の中心となり物語を動かし、なかなか壮大なスケールでしたね。
フォルトゥーナが小惑星から世界を動かしていくうち、プレイヤー自身も全能感が感じられます。

コアなファンに熱烈に支持されそうな作品ですし、熱烈なファンの方は本作をプレイして、ゲームにおける選択の重みなどについて語ったりするんでしょう。
しかし残念ながら、今の私には本作について細かく分析するほどの余裕はありません。
まあこのブログ自体、一作品について深く分析するブログではないですし、元々それほどの分析力もありません。
言ってしまえば「この作品には大体こういう魅力があるから、それさえ伝わっときゃいいだろ」という大雑把なブログですね。
そんな感じなので、本作についての細かい分析は、他の熱烈なゲームファンの方々が存分に語ってくださいって感じですね。

まあ私自身は、単純に本作をプレイして面白かったですね。
私が最近プレイした作品だと『バルダーズ・ゲート3』なんかもそうですが、プレイヤーのその時その時の行動により、ゲームブックのように物語が細かく分岐するタイプの作品は好きですね。
現在の日本のノベルゲームは、選択肢が少なかったり、そもそも選択肢が一切なかったり、ゲーム性がなくなっています。
それも物語に集中して読ませる一つの方向性ではありますが、やはりこういうゲームらしい要素を加えたADVももっと増えてほしいと思いますね。
個人的な感想としては以上です。