yukimuraのメモ帳 ver.2

幻想万華鏡

『幻想万華鏡』(2011)
評価 : ★★★★


同人サークル・満福神社による、同人ゲーム『東方Project』の非公式の二次創作アニメ。
2011年に第1話が公開され、それから毎年コンスタントに作られてきた息の長いシリーズですが、今年になって遂に完結となりました。

同人界隈でも二次創作が盛んな『東方Project』ですが、その二次創作アニメの中でも特にクオリティが高く知名度も高いのが本作になります。
私は原作ゲームもいくつかプレイしてキャラの名前は知っていましたが、原作を知らない人でも気軽に楽しめる内容です。

第1~17話は原作準拠のエピソードで進行され、現在では公式のYouTubeチャンネルなどで視聴できます。
最終回となる第18話は、原作にはないアニメオリジナルのエピソードで、こちらは先日発売された全話入りBlu-rayBOXでのみ視聴できます。

原作は現在でも続いている人気シリーズで、まだまだアニメ化できるエピソードのストックはありますが、制作側の事情ではクオリティ優先の赤字続きだったようなので、泣く泣く完結せざるを得ないという状況だったらしいですね。
何にせよ、スタッフの方々はお疲れ様でした。

本作の特徴としては、同人アニメでありながら商業作品にも引けを取らないクオリティで作られていることです。
各キャラは表情豊かで、戦闘シーンもよく動きます。
作画監督を担当しているスタッフは、『とある科学の超電磁砲』など、実際にTVアニメの作画を担当したプロの方ということで、まさに納得の出来ですね。
同人音楽サークル・幽閉サテライトが手掛ける楽曲もお気に入りです。

東方Project』には主役となる霊夢魔理沙をはじめ多数のキャラが登場しますが、そのキャラが集まってワイワイガヤガヤと賑やかな雰囲気は、観ていて実に楽しいです。
第2~4話「紅霧異変の章」(原作『東方紅魔郷』の話)は、咲夜、レミリア、フランドールなどの人気キャラが登場するエピソードで、個人的にも特に好きでしたね。
チルノも好きなので、息抜き的な第7話「巨大妖怪伝説の章」も好きでした。
本作は何と言っても、やはり多数のキャラが絡む楽しさに尽きます。

欠点としては、声が無くセリフが字幕なことですね。
声優を雇う予算が無いこと、公式との誤解を防ぐことが理由のようですが、やはりアニメは声が有るものというイメージが定着しているため、声が無いのは寂しく感じます。
(第1話のみ公式で声有りバージョンがあります。
非公式ですが、一応ネット上には有志が声をアフレコした動画も存在します。)

あとは、お話自体は他愛なく、舞台となる幻想郷に異変が起こって解決するというワンパターンなので、だんだん飽きてきます。
最終回も本当にちょっとしたオマケのような話で、終わった感慨は薄いです。
映像に関しても、後半になるにつれ、最初に観た時のようなインパクトが薄れてきましたね。

そのため、最後のほうの印象は薄いのですが、やはり初見時のインパクトが強かったこと、同人二次創作アニメの代表的な存在意義を加味し、総合評価は大甘ですが★4にしておきます。

『東方』ファンの方はもちろん、同人アニメ、二次創作アニメに関心がある人はチェックしておいて欲しい作品ですね。