yukimuraのメモ帳 ver.2

忍者武芸帳

忍者武芸帳』(1967)
評価 : ★


白土三平の漫画が原作のアニメ映画。
監督は大島渚

まず、アニメ映画とは書いたものの、本作は一般的なアニメーションとは違います。
静止画によるモンタージュという手法で作られたもので、原作漫画を撮影したものをスクリーンに映し、それに音声を加えたものです。

まあぶっちゃけ、漫画の画像に音声を付けて、それをスライドショーで眺めているような感じです。
確かに、それまでに無かったという意味では実験的な作品と言えますが、ただ漫画をスクリーンに映しただけの作品を、果たして革新的な作品と言えましょうか?

内容自体は、白土三平の作品なので面白いです。
しかし、漫画の各場面の吹き出し部分を避けて撮影しているため、自然と人物の顔面のアップばかりになって、画面的に面白味が全然ないのは困ったものです。
さらに、漫画なら自分の好きなテンポで読めますが、こうして映像化されると、どうしても制作者のテンポで進むので、面白くないですね。
これならもう普通に原作漫画を読んだほうが良いでしょう。

そう言えば、アニメ評論家の人が「観るべきアニメ〇選」みたいな企画を作っていて、その中に本作を選出していたのは疑問でしたね。
白土三平の原作アニメなら、第一に『忍風カムイ外伝』、第二に『サスケ』を挙げるべきでしょう。
それらを差し置いて本作を推薦するとは、一体どういう料簡なんでしょう?
正直これを名作扱いするなら、名作漫画をモンタージュの手法で作れば、全部名作になっちゃいませんか?

そんなわけで本作は、漫画をただスクリーンに映しただけじゃ面白くないよ、という当たり前の事を示したという点では、それなりに意味のある失敗作、という認識でいいんじゃないでしょうか。
個人的な感想は以上です。