映画、アニメ、近況など。
《映画》
最近チェックした映画の中から、良かった作品をいくつかピックアップして感想を書いていきます。
邦画が中心です。
『流浪の月』(2022)
評価 : ★★★★
私が最近観た邦画の中でも特に力作です。
凪良ゆうの小説を、李相日監督が映画化。
かつての「誘拐犯」と「被害女性」が15年ぶりに再会することで紆余曲折ある物語。
しかし、「誘拐犯」「被害女性」というのは、世間が貼ったレッテルであり、実情としては、孤独な者同士がただ寄り添っただけに過ぎません。
世間が言うような、男は「ロリコンの誘拐犯」ではなく、女も「可哀想な性被害者」でもありません。
そのレッテルにいつまでも苦しめられる二人の人生は、重く壮絶です。
主演の広瀬すずと松坂桃李、彼らの痛みが伝わってくるような演技には、胸が締め付けられます。
元々上手い二人でしたが、二人とも本当に良い役者になったと実感します。
彼らのような素晴らしい人材がいる日本の映画界を、私は嬉しくも誇らしくも思います。
「日本の実写映画はダメ」なんてレッテルを貼る人間は、本作で彼らを糾弾する人間と何も変わらないでしょう。
(そもそもそれを言う人間が、きちんと実情を語っているのを見たことがない)
『ハケンアニメ！』(2022)
評価 : ★★★★
辻村深月の小説を映画化した作品。
新人アニメ監督となったヒロインが、天才と呼ばれる憧れのアニメ監督に対抗心を燃やし、同じ時間帯に放送されるTVアニメで、どちらが覇権を取るか競う物語です。
二組のアニメ制作現場を並行して描き、制作だけでなく、製作委員会、宣伝、タイアップなどにも焦点が当てられています。
アニメ制作と、それに関わる多数の人物が登場するのは『SHIROBAKO』を思い出しましたね。
二つのアニメのリアルタイムでの視聴者の反応を、それぞれ青とピンクで視覚的に解りやすくしているアイデアも良いです。
好きなことを貫こうとする人々を描いた青春映画としても楽しめました。
そして吉岡里帆が可愛い。
『さかなのこ』(2022)
評価 : ★★★★
タレント・さかなクンの自叙伝を映画化した作品。
魚が大好きな主人公・ミー坊がタレント・さかなクンになるまでを描く物語。
冒頭に「男か女かはどっちでもいい」と注意書きがあるように、中性的な魅力の女優・のんが、設定上は男としてミー坊を演じているのがまず面白いです。
さかなクン本人が、魚に詳しい「ギョギョおじさん」として出演しているのも、メタ的な面白さがあります。
(まさに、じぇじぇ！とぎょぎょ！のコラボレーション！)
主人公の魚への愛情の強さも、ただ魚を愛でるだけでなく、食物として頂くことに全く抵抗がないのは素晴らしいです。
(その点ヴィーガンという人々の考えは理解できないし、ミー坊を見習うべきでしょう)
ミー坊の個性を認めて背中を押す母親も偉大な人物です。
『ベイビー・ブローカー』(2022)
評価 : ★★★★★
韓国映画ですが、監督は日本の是枝裕和。
是枝監督がまたもや家族を題材にした名作を生み出しました。
親が育てられなくなった新生児を預かる「ベイビー・ボックス」(日本でいう赤ちゃんポスト)に預けられた一人の赤ちゃんを巡る、周囲の人間の善悪を絡めた人間ドラマ。
赤ちゃんと周囲の人間が共に旅をするロード・ムービーでもあります。
赤ちゃんの実の母親も、赤ちゃんの売買をする男たちも、最初は赤ちゃんを手放すために旅しますが、次第に疑似家族という様相を呈してきます。
そして、最終的な登場人物全員の様子を見ると、まるで赤ちゃんを中心とした一つの大きな家族が形成されているように感じます。
是枝監督の持つ大きな家族観、辿り着いた一つの境地に感嘆しました。
是枝監督は、いよいよ現代の小津安二郎という感覚が強くなってきました。
《アニメ》
春アニメの感想も書こうと思いましたが、一作を除いてどれも不甲斐ないので結局やめました。
唯一面白かった『【推しの子】』だけは、後日感想を書くかも知れないですね。
夏アニメが早速始まりますが、続編では『無職転生Ⅱ』、新規では『わたしの幸せな結婚』が個人的に楽しみ。
そして今月は遂に、宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』が公開されます。
最近腰の重い私ですが、宮崎駿の大ファンとして、この作品は公開初日に絶対観に行きます。
今度ジブリ展にも行く予定で、今月は個人的にジブリ漬けになりそうです。
私が観られるのはまだ先になりそうですが、今月はミッシェル・オスロ監督の最新作『古の王子と3つの花』も日本で公開されますね。
宮崎駿とミッシェル・オスロ、アニメ界の東西の二大巨匠の新作が同じ月に公開とは、アニメファンにとって嬉しいですね。
《ブログの更新について》
最近は少しやる気が復活したので、毎週更新すること、毎週★4以上の良かった作品の感想を書くこと、この二点を心掛けてやっています。
まあぶっちゃけると、更新ペースを上げても個別の感想記事は大して読まれてないので、正直そこまでやる意味あるんだろうか？と思うこともありますけどね。
とりあえず、しばらくは毎週更新して、基本的に良かった作品を紹介しつつ、時々イマイチだった作品も紹介しつつ、やっていこうかなと思います。
そのうち飽きたり疲れたりしたら、また更新ペースを落とすかも知れないですね。
アニメの感想でも、他のアニメファンが興味を持ちそうな作品の感想は少なくなるかと思います。
私自身、他のブログで読めるような記事なら、自分は書く必要ないと思うタイプなので、古い作品のほうがメインになると思います。
もちろん、新作で面白い作品があれば、書く気力も湧くと思いますけどね。
まあ興味があれば読んでいってください。
何か皆さんのオススメ作品があれば、教えてもらえると嬉しいです。
