yukimuraのメモ帳 ver.2

バルダーズ・ゲート3

『バルダーズ・ゲート3』(2023)
評価 : ★★★★★


Larian Studiosが開発したRPG
『バルダーズ・ゲート』シリーズの3作目であり、実に23年ぶりの新作です。

海外で高い人気を誇るRPG『バルダーズ・ゲート』。
テーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をベースにしたコンピューターRPGであり、戦術性の高い戦闘や自由度の高さから海外で高い評価を獲得し、最高のRPGとして絶賛されたシリーズです。
そんなシリーズの最新作である本作も、既に全世界でかなりの高評価を得ています。

そのため、今更私があれこれ言うまでもないですし、特に洋ゲーをそんなに語れるほどプレイしていない私があれこれ言うのも野暮な気がしますね。
それでもあえて言わせてもらうなら、これだけの大作RPGを作り上げたことは凄いですし、称賛に値することだと思います。

戦術性の高い戦闘、膨大な量のテキストと選択肢、プレイヤーの行動により無数に分岐し変化していくプレイ体験。
本来のRPGが持つ役割を演じる楽しさを追求した内容と圧倒的なボリューム。
近年流行りのオープンワールドでもアクション系でもない、昔ながらのRPGの楽しさを有しながら、最新の技術力で作られた大作RPG
現状において、これほどのRPGは殆んど現れないでしょう。

そんな本作を絶賛する記事は多くの人が書いているでしょうから、ここからは個人的に気になったマイナスポイントを書いていこうかと思います。

私は本作をかなり楽しみましたし、実際★5の評価を付けています。
しかし、数年に一本レベルの作品に付ける★6に届くかもしれないと、事前にかなり高い期待値を持っていたため、それよりも期待を下回る結果となりました。
海外での物凄い高評価に飛び付いて期待してしまうと、やや肩透かしに感じるかもしれません。
実際、海外でのこのシリーズの異常な高評価は、向こうの人達に馴染みの深いTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』への強い思い入れが、かなりプラスに作用した結果ではないかと思います。

確かに本作は大ボリュームで面白いですが、移動にしても戦闘にしても、何をやるにしても時間が掛かるので、やってると段々疲れてきます。
じっくり楽しめる大作ですが、裏を返せばゲーム全体のテンポが悪いです。
いろんな要素を足し算して作られた作品ですが、もっと引き算で洗練させられる部分もあったでしょう。

特に移動速度の微妙な遅さは、もうちょっと何とかならなかったのかと文句も言いたくなります。
オープンワールドほどの広さは無いにしても結構な広さのフィールドですし、ファストトラベルはあるけど行きたい地点から結構離れているのでストレスが溜まりました。
フィールド上の敵は倒すともう現れないので、そうなると何もないフィールドをずっと歩き回らないといけないですしね。

戦闘は、従来のシリーズのリアルタイム戦闘から、SRPGのようなターン制の戦闘になりましたが、これも好みが分かれそうですね。
時間を掛けてじっくり考えながら楽しめるのは良いと思いますが、テンポは悪くなりましたね。
私が気になったのはダイスによる運要素ですね。
敵の攻撃ばかり当たって味方の攻撃のミスが多い時には随分イライラさせられました。
あと日本のRPGみたいにレベルがポンポン上がらなくて、レベルを1アップさせるのにも相当時間が掛かるので、成長を実感しにくいです。

もう一つは、いろんな要素を取り入れて本作も十分凄い作品なんですが、過去の洋ゲーRPGをプレイした人にとっては、ちょっと新味が足りませんね。
ここが特に、私が世間ほど本作を評価できない理由です。
洋ゲーRPGで私が一番好きな『Planescape: Torment』を踏襲した作りなんですが、あの作品ほどの衝撃や面白さはなかったですね。
プレイヤーの選択により無数に分岐していくストーリー、それは面白かったのですが、用意された大枠のストーリー自体にそこまで魅力を感じませんでしたね。

おそらく多くの人が絶賛する作品なので、あえて欠点を挙げていきました。
凄いけれど個人的に最高のRPGとまでは言えない作品であり、そこは残念でしたね。
(近年のRPGでは、★4を付けた『FF16』『Demons Roots』などのJRPGのほうが好みだったりしますね。)
それでも★5を付けているので、有無を言わせぬ凄さがあるのは認めざるを得ない作品ですね。