yukimuraのメモ帳 ver.2

2023年に観た映画

2023年に観た映画のランキングです。


相変わらず映画館から足が遠のいており、殆どが自宅での鑑賞なので、日本で新作として公開された作品を大体一年遅れくらいで観ている感じですね。
映画館に足繁く通っている映画ファンの方からすれば、「お前は本当に映画ファンか?」と言われそうですね。

最初は、昨年同様に日本映画と外国映画それぞれのベスト10を作る予定でしたが、昨年に比べて私の映画に対する熱量が落ちてしまったので、申し訳ないですが、今回は全部合わせたベスト10とさせてもらいます。
日本映画で印象的だった作品の感想は、これまでの雑記で少しずつ書いてるので、気になる人はそちらを読んでもらえればと思います。
(感想を書いていない作品だと『愛なのに』『窓辺にて』『PLAN 75』『ケイコ 目を澄ませて』なども印象的でしたね。)

毎度ながらの注意として、あくまでも私自身が2023年に観た映画のランキングであって、2023年に公開された新作映画のランキングではありません。
比較的新しい作品の初鑑賞を対象とし、古い映画や再鑑賞は除外しています。
それでは御覧ください。



第1位『THE FIRST SLAM DUNK』(2022)


漫画『SLAM DUNK』を原作としたアニメ映画。
原作者・井上雄彦が自ら監督・脚本を務めています。
TVアニメ版で描かれなかった山王戦の映像化であり、それだけでもファンにとっては感動的でしょう。
宮城リョータを主役とし、彼の知られざるドラマを描くことで、旧来のファンも新味を感じながら楽しめます。
何より素晴らしいのがCGによるアニメーションで、まるで自分もその場に居合わせるかのようなリアルな試合場面は迫力満点です。
日本のCGアニメもここまで進化したか!と驚かされる、インパクト抜群の作品でした。


第2位『秘密の森の、その向こう』(2021)


セリーヌ・シアマ監督作品は美しい映像感覚が印象的で、代表作『燃ゆる女の肖像』も良い作品でしたが、これまでの作品はLGBT映画なので感心し切れない部分もありました。
しかし、宮崎駿作品に影響を受けて作られたらしい本作は、二人の女の子を主役としたファンタジックな物語で、ミニマムかつ純度の高い内容で、特に感心させられましたね。
上映時間73分という短めの作品ですが、オー・ヘンリーやテオドール・シュトルムの短編小説を読むような余韻があり、まさに珠玉の名編と言えましょう。


第3位『ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~』(2022)


2018年公開のドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』の続編。
監督の信友直子が、認知症が進む自身の母親と、彼女を支える父親、その老夫婦を客観的に捉えたドキュメンタリー。
前作は、客観的に捉えながらも監督の両親を見つめる温かい視線が感じられる感動的な一編でした。
続編の本作はより一層感動的で、観ていて何だか涙が止まらなくなる瞬間があります。


第4位『英雄の証明』(2021)


アスガル・ファルハーディー監督のイラン映画
ふとしたことから美談の英雄として祭り上げられた後、一転してペテン師扱いされた服役囚の男、彼の転落からの逆転を描いたヒューマンドラマ。
これまで秀作を手掛けてきたファルハーディー監督は、今回も面白いシチュエーションで追い込まれた人間を描きます。
イスラム圏の社会を知る勉強にもなる作品です。


第5位『ベイビー・ブローカー』(2022)


日本の是枝裕和監督による韓国映画
「ベイビー・ボックス」に預けられた一人の赤ちゃんと周囲の人々の善悪を絡めたロードムービー
赤ちゃんを中心に集まった目的の異なる人々が共に旅するうち、次第に疑似家族という様相を呈してきます。
最終的な登場人物全員の様子には、是枝監督の持つ大きな家族観が感じられ、辿り着いた一つの境地に感嘆しました。


第6位『トップガン マーヴェリック』(2022)


トップガン』の実に36年ぶりの続編。
ドラマ的な面白味もありますが、やはり大衆娯楽映画なので、最終的には派手な見せ場で大いに楽しませてくれます。
本作最大の魅力は何と言っても、大迫力の飛行・戦闘シーン、これに尽きます。
特に終盤の敵地潜入ミッションからのドッグファイトは、息を呑むような攻防に非常に手に汗握ります。
やはり年に一本は、こういう優れた娯楽映画に出会いたいですね。


第7位『オフィサー・アンド・スパイ』(2019)


ロマン・ポランスキー監督の歴史映画。
19世紀末にフランスで起きた冤罪事件・ドレフュス事件を基に、ピカール中佐を主人公にして描いています。
ドレフュス事件を描いた作品はこれまでにもありましたが、ここまで詳細に描いた作品も珍しいでしょう。
ユダヤ人として差別を受けたポランスキー監督だけに、ユダヤ人差別を題材にしたこの作品には強い思いがあったことでしょう。


第8位『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』(2022)


#MeToo運動が世界に広がるきっかけとなった、ハリウッドで強い影響力を持つ映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによる長年の性加害を暴いた、2017年のニューヨーク・タイムズ紙の報道に至るまでの実話を元にした映画。
その性加害事件を追いかけた二人の女性記者、ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターの奮闘を描いた伝記映画でもあります。
非常に力強い報道作品で、日本ではこういう映画は作れないでしょう。


第9位『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』(2021)


人生で1万6000本以上を鑑賞した映画マニアのマーク・カズンズが、2010~2021年に公開された111本の映画を参照しながら、独自の映画論を展開するドキュメンタリー映画
映画マニアとして、様々な観点から多岐に渡って語られており、非常に勉強になる作品です。
映画における映像の扱い、映画の批評に興味がある人にとっては必見ですね。
TVシリーズも作られているようで、そちらでは古い映画についても語られているようなので、機会があれば是非観たいですね。


第10位『オットーという男』(2023)


2015年公開のスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』のハリウッドリメイク。
妻に先立たれ仕事も失った嫌われ者の男が、自殺をしようと試みるが、周囲の人間に邪魔されてなかなか死ねないという様子が、喜劇的に描かれます。
最終的には、人々の温かい交流が胸を打つ作品です。
リメイクなので順位は抑えめですが、主人公を演じたトム・ハンクスの好演、映画としてのタイトな作りなど、総合力ではオリジナルよりも優れているくらいですね。