yukimuraのメモ帳 ver.2

リップ・トリップ ~編集長はわたしの解熱剤~

『リップ・トリップ ~編集長はわたしの解熱剤~』(2024)
評価 : ★


SukeraSomeroから発売のノベルゲーム。
途中に選択肢は一切ないので、完全に物語を読ませるタイプの作品です。

『ことのはアムリラート』などを手掛けた百合ゲーブランドSukeraSparoの姉妹ブランドによる作品です。
原画を手掛けるのは、人気イラストレーター・千種みのり。

本作の特徴は「百合×オメガバース」です。
無知な私は「オメガバース」って何?って感じでしたが、どうやら英語圏の二次創作から生まれた「第二の性」らしいです。
これにより、同性同士の関係を作りやすかったり、同性同士で妊娠したり、BL・GLの二次創作を作るのに非常に都合の良い設定です。

同性愛を嗜好する人にとっては「この設定を考えた人は天才だ!」とか言われてて、本作の公式でも「百合とオメガバースの相性が悪いわけがない!」と意気揚々と紹介されています。
しかし、私はこういうあまりにも都合の良い同人設定を商業作品でやられてしまうと、何だか白けてしまいます。

現在はただでさえLGBTQやポリコレがうるさい時代で、自分たちの多様性を認めろと叫びながら、本来自由であるべき作品から多様性を奪っています。
私は映画好きですが、最近の洋画は「多様性」のキャンペーン映画のようで、説教を聞かされる作品が多く辟易しています。
(歴史劇であっても、本来そこにいないはずの有色人種がいたり、歴史を無視した作品が増えているのも問題です。)
別に作品で同性愛を扱っても構わないですが、今の時代、例えどんなに上手く作ったとしても、若干の説教臭さ・厭らしさは伴ってしまうでしょう。

そのため私は、せめて二次元の作品くらいは、そうした厭らしさから少しでも遠ざかりたいと思っています。
しかし、私はこのオメガバースという設定には厭らしさしか感じられません。

本作も、ただ純粋に女性同士の恋愛を描けばいいのに、アルファだのオメガだのという不純物のせいで素直に楽しめませんし、何だか興醒めでした。
今後、作品紹介に「オメガバース」と書いてある作品は、購入対象外でいいでしょう。

その上、本作は一時間で終わってしまうボリュームで、いくら何でも短すぎです。
私は千種みのり氏の絵に惹かれて買いましたが、それでも元は取れませんでした。
よっぽどの原画ファンの人以外には薦められない作品でしたね。